もしグロ 〜もし管理栄養士の女性社員がヘルスケアアプリの「グロースハック」をしたら〜

これは管理栄養士からグロースハッカーに転身したとある女性社員の奮闘記である

第11話 たんたん、最新になる

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大切な前置き

 このお話はフィクションです。実在の人物や団体、事件などとは一切関係ありません。

たんたん、違和感を覚える

 ゆっつーの温かい言葉にグロースハッカーとしての自信を得たたんたんは、ある日のこと、いつものように元同僚のあすみんと食事をしていた。

 「ねえねえ聞いて、」から始まるあすみんの愚痴は、最近台頭してきた競合サービスの話であった。

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「そういうわけで、そっちのほうが新しい理論がどうとかいってそっちに行っちゃうお客さんとかもいてね。困っちゃうわ。」

 ふーんとかそうなんだーと相槌を打ちつつ、たんたんは少し違和感を覚えた。

  ダイエットの新しい理論?競合サービス?

 え、そんなの出てたの?

たんたん、危機感を覚える

 ちょっとした違和感を覚え、ランチから戻ってきたたんたんは、グロースハックチームの定例ミーティングに出席した。

 F社のミーティングスペースは、個室になっている部屋とオープンスペースの両方が存在する。チームの定例ミーティングはオープンスペースで行われていた。

 そこに、F社の取締役の一人である小湊さんが近づいてきた。

 小湊さんはF社のCFOを務める陽気なおじさんである。彼はたまにこうしてオフィス内を練り歩き、社員に声をかけていくのだった。

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「よりー。お前この前出てた論文読んだか?ああいうものをいち早く読んで取り入れるようじゃないとダメだぞ。」

 その論文は数日前に海外のなんとかという学会で発表されて話題になったというものだという。さすがにそんな数日で、とたんたんは思っていたが、よりーさんはよどみなく答えた。

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「はい。一昨日それについて鬼百合さんを含めてFUのサービスに応用できないかという相談をしました。」

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「そうか。よしよし。その調子でたのむぞ。」

豪快に笑いながら、小湊さんは笑顔で去っていった。

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「よりーさん。海外の論文をそんなにすぐに読んでいるなんて、すごいですね!」

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「エンジニアは特になんだけど、最新事例にキャッチアップし続けるのは大事なことだからね。ちゃんと読んでないとこうやって小湊さんに話題振られたときに答えられなくて怒られるから。」

 たんたんは、ランチのときに感じていた違和感の正体に気づいた。

 私、遅れてる!!

 こうしてたんたんの違和感は危機感に変わった。

たんたん、最新になる

 危機感を持ったたんたんは、その日の業務を終えるとすばやく帰宅し、手早く食事を済ませると急いで机に向かった。

 思えば、管理栄養士だった頃はよく帰宅後にこうして机に向かったものだった。栄養学の論文を学んだり、お客さんと会話するときの話術の本を読んだり。しかし、グロースハックで忙しいうちに段々と学ぶことから遠ざかってしまっていた。

 この世界では、日々新しい理論が生まれる。栄養学も、グロースハックも。ここまで学べばもう大丈夫ということは存在しないのだ。

 少なくとも自分は自分の得意分野で、要するにヘルスケアで、最新の状態でいなければ。そう、常に新陳代謝をして成長していく、身体のように。

 これまでの遅れを取り戻すべく、たんたんは見たい映画を諦め、土日をずっとぶっ通しで勉強しなおしたのだった。

グロースハックチーム、最新になる

月曜日に出社したたんたんは、チームにある提案をした。

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「もっとそれぞれが持っている知識を共有したほうがいいと思うんです。私は栄養学やヘルスケアの最新の話を話すことができます。よりーさんはグロースハックやエンジニアの技術があります。お互いに教え合えば、もっといいチームになると思うんです。」

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「いいね。やろう。」

 こうしてグロースハックチームは、あらゆる分野で最新になることに成功したのだった。

次回予告

 なんだかんだ、これまで色々ありましたね。

 なんでそんな締めに入ってるんですか、え、次回が最終回?

 次回、最終回。「これからグロースハッカーになろうとしている人たちへ

 MVPに私はなる!!